生き物写真館

長野県山ノ内町、志賀高原、栃木県小山市、海外などで 出会った生き物を中心とした写真館です。 野鳥、昆虫、花、などの写真を撮影情報とともにお伝えします。 撮影テクニックやカメラについても書いてます。

よもやま話

無農薬りんごを調べてこの方をはずすわけにはいかない 木村秋則さん

2019/07/07

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食酢とワサビ製剤をりんごに使っているらしい

「奇跡のリンゴ」の木村秋則さんは、無農薬りんご栽培に挑戦して、

7年間、収穫ゼロだったと「奇跡のリンゴ」に書いてます。

いまは、農薬のかわりに食酢とワサビ製剤とをりんごに使っているようです。

食酢が特定農薬と指定されたのは2002 年ころだったので、

食酢散布しているから無農薬ではない、という言葉遊びは別としても

食品起源とはいえ農薬でないものを回数や倍数もわからず、

散布してりんごの上で

どんな変化しているのかわからない、

アレルギーの原因になっているかもしれないわけです。

もっといえば、

食酢が主成分の農薬は過去に農薬登録をとっていますが、

いまは登録失効しています。

木村秋則さんが、無農薬りんごに取り組み始めたのが1978年で、

7年間収穫ゼロ、8年目に2個だけなった。

ざっくりいって、1978年から現在まで食酢を散布しているようですね。

いっぽう、

食酢を主成分とする農薬(商品名:モミエース)は1991年12月16日に登録取得して、

1997年12月16日に登録失効してます。

登録内容は水稲の苗箱処理で、対象はバカ苗病です。

つまり、91年から97年までは、農薬成分の適用外使用、

98年からは登録失効農薬成分のりんごへの散布、となります。

メーカーとして売れないから登録更新しなかったためと思います。

危険だから失効したとは思っていません。実は私の会社で扱っていました。

だから、木村秋則さんは、水稲用の農薬の主成分である食酢を

原液から薄めて実験や販売用りんごに散布していたことになります。

適用外作物への使用、適用外での方法(りんごへの散布)です。

伝統食品である食酢ですから、りんごにかけたって、

問題なかろうとは思いますけど・・・・

こういうのイチャモンというのでしょうか?

特定農薬(特定防除資材)としての食酢は

稲の種子消毒用の病害防除用として稲の
もみ枯細菌病・ばか苗病・ごま葉枯れ病に
対する効果を期待しているだけです。

食酢の基準についても言及しています。

特定農薬(特定防除資材)として指定された資材に関する情報(長野県)

特定農薬(特定防除資材)として指定された資材に関する情報(農水省)食酢はp4

さきに食酢使っていて、あとから農水省が特定農薬という

名称つけたから無農薬とはいえない、とは私はいいません。

ワサビ製剤の「樹木の味方」無登録農薬の疑い?

ワサビ製剤は腐乱病対策に塗り薬として使っているようなので、

大丈夫とは思いますけど・・・・

メーカーのHPを見てみます。

樹木の味方

以下は、このサイトからの引用です。

が、その前に、これだけ大っぴらに腐らん病対策、
病害防除用に使っているとなるとやはり、
農薬取締法における無登録農薬に使用に
限りなく近いように思います。

ワサビ辛味精油成分が防菌・抗菌作用していく

「樹木の味方」は農薬ではありません。
人体に安全で、環境にやさしい資材です。

主な有効成分: イソチオシアン酸アリル(ワサビ辛味精油成分)

step2
食品添加物でもあるワサビ辛味精油成分が防菌・抗菌作用していくので、健全な細胞のまま癒合組織成長を助けます。

step3
「樹木の味方」は農薬ではありません。特許技術による安全な成分が細胞に直接働きかける、樹木にも環境にも優しい資材です。

“さくらてんぐ巣病”の処置にもお使いいただけます。

特許技術による安全な成分が細胞に直接働きかける、樹木にも環境にも優しい資材です。

サンアクト社HP

さらに、

使用上の注意
● 塗布はできるだけ天気の良い日を選び、冬は日中に塗るようにして下さい。
● 使用前には容器の中身をよくかき混ぜてからご使用下さい。
● 水で薄めたり、他のものを混入させないで下さい。
● 剪定および処理後にすぐ塗布して下さい。
● 使用する刷毛やバケツ等は清潔なものを使い、
  使用後は必ず水洗いして下さい。
● 万一、口に入った場合は水ですすぎ、眼や手肌に付着した場合は、
すぐに水で洗って下さい。

保管および取扱上の注意
● 小児の手のとどかないところへ保管して下さい。
● 直射日光をさけ、なるべく涼しい所に保管して下さい。
(凍結にご注意下さい)
● 誤用をさけ、品質を保持するため、他の容器に入れかえないで下さい。
● 使用後は容器のふたをしっかり締めて保管して下さい。

サンアクト社HP

パッケージには有効成分の名前も量(%)も表示義務がなく、
危うさを感じます。

ワサビの辛味成分だから、天然物で安心安全と謳いたいのでしょうが、

MSDS(製品安全データシート)には以下の記載があります。

上に引用した使用上の注意、保管および取扱上の注意には

以下のMSDS(製品安全データシート)に書いてある注意事項は

まったく記載されていません。

「樹木の味方」の製品安全データシート

取扱い及び保管の注意
取扱い :取扱い中は、皮膚に触れないようように注意し、必要に応
じて保護具を着用する。

暴露防止措置として
保護具 :保護メガネ、保護手袋、防毒マスクの着用が望ましい。

有害情報
目、鼓膜、呼吸器系上部に対し、刺激性有り。

樹木の味方安全データシート(MSDS)

さらに有効成分のイソチオシアン酸アリルを調べる

イソチオシアン酸アリル
http://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/57-06-7.html

ラットに対する経口でのLD50値は339mg/kg
フェニトロチオン(スミチオン)より強い急性毒性あり。

皮膚に接触すると有害 急性毒性区分4
経皮腐食性/刺激性 区分2

ちゃんとりんごに登録ある農薬の例(塗布剤)

塗布剤 バッチレート

塗布剤 バッチレート
有効成分:8-ヒドロキシキノリン銅・・・5.0%
安全使用・保管上の注意
眼に対して弱い刺激性があるので眼に入らないよう注意する。眼に入った場合には直ちに水洗する。
使用の際は農業用マスク、手袋、長ズボン・長袖の作業衣などを着用する。

日本農薬HP

塗布剤 トップジンMペースト

塗布剤 トップジンMペースト
有効成分:チオファネートメチル 3%
安全使用上の注意
15.眼に対して弱い刺激性があるので眼に入らないように注意してください。眼に入った場合には直ちに
水洗してください。
16.使用の際は農薬用マスク、手袋、長ズボン・長袖の作業衣などを着用してください。

日本曹達HP

この2剤も使用上の注意は安全データシートどおりではありませんが、

少なくとも農薬登録とってあり安全審査とおっているから

安心安全みたいな宣伝方法はしていません。

剪定後の切り口などに塗る塗り薬だから、

りんご果実には農薬は直接かかりません。

だからといって、ちゃんと農薬登録がある薬剤があるのに、

農薬登録のない「樹木の味方」を大っぴらに

使ってて良いのでしょうか?

無農薬栽培の教祖のような方が、

このような資材を使っていること自体に危険性を感じます。

最近は、木村秋則さんは、

無農薬農業の教育普及に力を入れておられ、

あちこちで講演などもされているようです。

このような方だからこそ、「農薬」でないなら何使ってもいい、

かのような風潮が広まることを危惧します。

農薬でさえなければ、何を散布したっていいのか?

たとえば、生卵は食品であり天然物だからといって、

扱いを間違えれば食中毒の原因になったりします。

また、別の農家では、無農薬りんごと銘打って、

木酢液やEM菌を散布しています。

木酢液は、農薬登録取っていた時期もありますが、

いまは登録失効農薬です。

木酢液は、いろんな会社がつくっているようで、

内容成分不安定、成分名、成分量%表示義務なし、です。

ある研究では、有効成分以外の危険成分が検出されています。

EM菌も、天然物だからといって

りんごに無制限に散布していいものやら・・・

実際にあった農薬でない化学物質をさつまいも畑で使っていた(茨城県の例)

茨城県の北部のさつまいも地帯では、2000年ごろまで、

医薬用外毒物であるパラコートの入った海外輸入の化学物質を

さつまいもの畝間に除草剤として大量に使っていました。

農薬ではないので、農薬取締法にはひっかからないのか?

農薬ではないので、希釈倍数もへったくれもありません。

除草目的なので、畝間の草にしか散布せず、

さつまいもの上から散布するわけではありません。

でも、少しはかかるでしょう。

これでも無農薬栽培といっていいかもしれません。

農薬というのは、

登録ある農薬だけ(特定農薬:食酢、重曹など除く)ですから、

無登録農薬という言葉自体が形容矛盾なのです。

当時の農薬取締法では、取り締まりができません。

たまたま、成分が毒物なので、

私たち正当な農薬メーカーとして

保健所にも説明に行きました。

毒物・劇物は保健所が管轄。

農薬は防除所が管轄。

農薬でないものは防除所は管轄外。

茨城県特産のさつまいもで、農薬ではない毒物を、

畝間とは言え除草目的で散布している実態がある。

ちゃんとした登録ある農薬を使いましょうと。

ちゃんとした農薬ならつぎのように使用方法が決まってます。

プリグロックスL

時期は植え付け前なら全面散布、

雑草生育期は畦間(収穫30日前まで)のみの散布、

水量は100~150L/10a、薬量は600~1000mL/10a、回数は3回以内と

決まっています。

余談:漢字の話

登録内容は畦間となっているが、

畝間のほうがさつまいもの場合適切だと思う。

畦は、うねとも読むが田んぼのあぜが本来の意味で、

畑のうねは畝のほうが適切な気がする。

あ、ちなみに作物名は「かんしょ」です。

さつまいもではありません。同じなんだけど。

◆無農薬信仰の危険性

無農薬、無農薬と、とにかく、

農薬は悪だから、農薬でないものは善、

という発想は非常に危険です。

すでに10年以上前の話ではあるが、

農薬でない「資材」から、

日本では登録されてない農薬成分が

検出されて、野菜出荷停止額1億円という

事件にまで発展しています。2009年。

その後も、同様に平成25年、

まだ6年前に「農薬でない」という資材から農薬成分が検出され、

商品回収さわぎになっています。

いまでも、このような○○エキスとか、活性資材のようなものが、

販売されているものと思います。

比較的有名どころでは、木酢液ですね。

天然物だから安全安心などと説明されているようですが、

下記のリンクの記事を読むと成分そのものが量的に不安定、

成分以外に危険物質が混入、病害虫には効果がない、

農作物には害があったということで散々な結果となっています。

木酢液は、過去には農薬登録を取っていたこともあったようですが、

いまは登録を維持せず、いわば登録失効農薬です。

登録失効の理由は、採算面であったりしますので、

必ずしも危険性があることの証明にはなりませんが、

あまりおすすめの資材では、なさそうですね。

無農薬農業とか、有機農業を謳っても

病害虫雑草の退治は大仕事なので、

農水省の登録番号の入った農薬は使わずとも、

農薬でないと称されるいろんな資材を農作物に

無邪気に散布している農家も相当数あると私は見ています。

無農薬だ、有機だと標ぼうしている農家には、

こうした資材の名称、会社名、成分名、成分%、

散布濃度、散布量、散布時期、何のために散布しているのかなども

よく聞いてみたほうがよいと思います。

農薬は使っていないといっても、天然という説明のもと、

その他のいわばわけのわからない化学物質を

かけている可能性もあるからです。

えてして、こうした資材は、

法律のすき間を縫って作られていることも多く、

成分名や成分%、使用方法(薄め方など)の表示義務さえ

ないものもあるからです。

農薬でも、肥料でもない、医薬部外品でもない、

要するに法律の及ばない商品なので、合法というよりも、

法律と法律の狭間に存在する、といった例えが適切かと思います。

たとえて言えば、薬機法(旧薬事法)に触れるので効能は謳えないが、

愛用者の声のような形で事実上効能を謳う健康食品や健康器具の

例に似ています。

あるいは、シニアカーというお年寄りが乗る電動の小型車がありますが、

道路交通法上は歩行者扱いなので、運転免許なしで運転できる「クルマ」のような存在に似てるような気がする。

速度は遅いとはいえ生身の歩行者とぶつかれば「交通事故」になるでしょう。

世界中で学者級の研究者たちが、

病害虫雑草には効果があって、人畜・環境には無害な物質を

膨大なコストをかけて日夜探しているなかで、

そうそう簡単に農薬に代わるような物質が

出てくるとは思えないのです。

いきなり農薬なくすとどうなるか

確かに一部の野菜で無農薬が成り立つケースもありましょう。

だからといって、その作物全部をすぐに農薬不使用にすれば、

収穫ダウン、秀品率ダウンで、

入荷不安定、価格高騰になってしまうでしょう。

食料不足のときは安全な?外国から買えばいいの?

1993年に、農薬の不使用が原因ではありませんが、

天候不順のため、コメの収量が全国でたった2割の収量減見込みとなっただけで、

緊急輸入しました。

タイ、アメリカなどからいわゆるタイ米(長粒種)だったので

日本の消費者には不評でした。

無農薬栽培にすると、りんごやももは100%出荷不能、野菜でも30%減くらいにはなるでしょう。

そのとき、外国の農産物のほうが安全だから輸入すればいいんでしょうか?

何しろ、日本は世界有数の農薬使用大国だから危険であると

信じている人たちは、外国産の農作物のほうが安心安全だと

信じているのでしょうか?

遠い国から運ぶとなれば、

かんきつやバナナのように、収穫後に使うポストハーベスト農薬、

日本では食品添加物扱いの化学物質をかける

必要が出てくるかもしれません。

りんごやももはもちろん、キャベツもきゅうりもコメも。

有機だ、オーガニックだと名前ははよく聞きますが、

実際の流通量は1%以下です。

とても1億人以上の日本人のおなかを満たす量には届きませんよ。

いまある有機やオーガニックは、

農薬使った大多数の慣行栽培があって、

病害虫がそこそこ抑えられているからこそ、

可能であると考えます。

昔は農薬なしで農業やってたんだから

農薬なんて戦後できたもの、

江戸時代は農薬なしで農業やってたんだからできるはずなんて

いう言説もありますね。

江戸時代はコメの反当り収量もずっと少なく、白米自体が貴重品で、

庶民は、農薬なしでできるアワやヒエなど食ってたんじゃないでしょうか?

りんごも、ふじなんてないし、

小さくてすっぱくて硬くてえぐい果実だったかもしれません。

収量だっていまほどはいかないでしょう。

畜産農業でいえば、卵や肉製品もないので

たまにあれば超貴重品だったでしょう。

添加物もなかったでしょうから。

海外からのバナナやかんきつ、もなかったでしょう。

冬はハウスもないので、雪国では新鮮野菜はありません。

漬物食べすぎて塩分過剰になってたかもしれません。

自分たちだけ高いかカネだしても、

無農薬農産物買いたいといっても、

その流通させる農産物そのものがない、という状態に

なりますよ、きっと。

無農薬のほうが危険であるという説

これは、農薬を使わないと、

作物のほうで病害虫にやられないように防御物質を

みずからだしてくるのでその物質が

人間に対して危険であるというお話です。

確かにそれもあるかもしれませんが、

まあ、特にデータもみてはいませんが、

実際、農薬不使用の野菜食べて何ともない人のほうが

多いでしょうから、

ヒトに対する急性や慢性の毒性というほどの量ではない、

と私は思っています。

農薬なしで病害虫つかない作物ができたら、

それはそれでいいことだと思います。

作る作業する農家も農薬代かからず散布の手間いらずですから。

私が、いちばん心配するのは、

農薬さえ、使ってないからといって、

農薬まがいの資材をつかってませんか?

ということです。

木酢液とかEM菌とか天然XXXXXエキスとか、

それこそ何が入っているのか

全然わからん資材です。

表示義務もないし。

天然物だから食品添加物(こういうときだけ食品添加物が味方になる)

だから、食べ物そのものだから、

とかいう説明が多いです。

生卵だって割って放置してたら危険、

牛乳だって新鮮でなければアブナイ、ですよね。

無農薬(農薬不使用)とか農薬不使用とか、オーガニックとか

おおっぴらに言っている人ほど、

ホントですか、という気になります。

確かに使っている資材は、

日本の農水省登録の農薬では、ありませんね。

では、この瓶、この袋は何ですか?と。

なかの成分は何で何%入って、何倍にうすめて、何リッター散布してますか?

作業日誌全部見せていただけませんか?

散布日誌もつけてますよね?

正規の農薬登録ある農薬 ↓↓↓

水色のワッペンは、厳しい登録審査をパスしましたと言っているかのようです。

正規の農薬登録ある農薬
正規の農薬登録ある農薬

農薬でない資材が問題になった例 リンク集

農薬でないという土壌活性剤から農薬成分 被害額1億円 2010年1月

TBSテレビ ブランド野菜から違法農薬のワケ 2009年9月

木酢液、竹酢液 2009年11月

有機農業と農薬代替資材 2009年12月

「農薬疑義資材」って知ってますか 2009年3月

続・「農薬疑義資材」って知ってますか 2009年3月

筆者プロフィール

昆虫少年から大学は農学部の昆虫学研究室に入り、
卒論はみかんのアブラムシ。

大学卒業後農薬会社の研究所をスタートに
本社、仙台、福岡、関東、長野などで
技術普及と営業で合計31年超勤めた。
畑での実験が大好き。

娘が小さいころ、
パパのお仕事は植物のお医者さん、
と言っていた。

関連資格:農業改良普及員、農業高校教員、
毒劇物取扱責任者、農学士

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