生き物写真館

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茨城オーガニック給食プロジェクト 「茨城県の学校給食に より安全な選択肢を求める」要望書に対する要望

2023/06/05

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標題の要望書にはグラフが3つ掲載されており、
それぞれにコメントします。

またまた、木村ー黒田博士グラフ

ネオニコ系農薬人への影響?
ネオニコ系農薬人への影響?

このグラフの出所は、2021年11月のTBS報道特集からです。
この番組は全体としてネオニコ系の問題点を指摘するものですが、
なぜか、このグラフだけネオニコ系農薬ではなく、
全部の農薬についてなのです。
前後のアナウンスもすべてネオニコ系農薬なのに、
ここだけこのグラフなのです。
せめてネオニコ系農薬のグラフを使ってほしいところです。
単位面積当たりの農薬使用量が多い韓国と日本は、
自閉症が多いと印象づけています。

韓国より農薬使用量が多い中国やイスラエル、コスタリカ、コロンビアあたりの自閉症発症率を見ないとなんともいえません。

単位面積当たりの農薬使用量の重さの比較そのものが、
無意味なのはすでに何回も指摘しているとおりです。
こんなグラフしか有機農業を進める理由がないのかしら。

農薬の使用量は、国や地域の作物構成比率に依存します。
作物によって使う農薬も違います。
それを一緒くたにして、成分重量の合計(平均)で比較しても
無意味です。
重いほど毒性が強いわけでも、重いほど作物残留率が高いわけでもありません。

文句ばっかり言ってもしょうがないので、ちょっと調べてみた。

・ADHD「注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害」の子どもの割合
 1%以上が岐阜、長崎、東京、
 ついで京都、山口、新潟、佐賀、島根、宮城、宮崎
・発達障害児出現率 4%超えるのは滋賀、京都、鳥取、
 ついで山形、新潟、和歌山、兵庫、徳島、愛媛と続きます。
いずれも、上位は、いわゆる農業県とは違っているように見えます。
農薬会社30年の私から見て、農薬たくさん売れる県ではありません。
ネオニコも。
一方で、ネオニコチノイド系農薬の出荷量の多い道県は以下の通りです。
2014年北海道、青森、宮城、新潟、茨城、長野、和歌山、愛媛いわゆる農業県です。
それぞれに特産の農産物がひとつずつくらいは頭に浮かぶ人も多いと思います。データの出所によるバラツキはあるとしても、
発達障害やADHDの多い県と、
ネオニコチノイド系農薬の出荷量の多い県があんまり重なりません。
ネオニコチノイド系農薬を使った作物を、
食べた量の多い県のデータなんてないので、
なんともいえませんが、それでも、
全農薬の使用量(成分重量)のデータ国際比較よりはマシだと思いますが、
いかがでしょう?
せめて、このくらいのデータを準備して、
ネオニコが悪いと思うならそれらしく、地域と発生率、
年次推移など、グラフ化してほしいものです。

茨城県内でも、地域によって栽培する作物の違いがあります。

たとえば、梨栽培の多い筑西市、下館市、石岡市、かすみがうら市、
露地野菜の多い結城市、八千代町など、
さつまいもの多いひたちなか市から鉾田市にかけての地域など、
地域ごとに農産物の特徴があるので使う農薬も異なります。
それで発達障害などに差があるのであれば、
農薬を疑うのも、いいかもしれません。
他人の作ったデータの都合よい切り取りばかりでなく、
茨城なら茨城らしい活動を希望します。

全国であれば、
農薬使用量の多いりんごの多い青森県、長野県で発達障害が多いのか?
青森県弘前市のなかでも、りんご地帯と田んぼ地帯の小学校で
発達障害の発生率に差があるのか?
田んぼばかりの新潟県長岡市や秋田県大潟村では何か傾向がつかめるのか?
こういうことなら統計資料を調べるだけで出てくるんではないでしょうか?

ネオニコ系農薬とグリホサートの発売年違う

除草剤・農薬と知的障害との関係
除草剤・農薬と知的障害との関係

除草剤グリホサート使用開始が1996年、
殺虫剤ネオニコチノイド系農薬の使用開始が2000年となってます。

でも、ホントは以下のとおりです。
グリホサートは1981年、
ネオニコチノイド系農薬は1993年発売です。
こんな間違いのグラフをもってして、
県知事や市長に陳情にいくグループの活動、
いかがなものでしょう?

農薬は有機食品でデトックスできる?

農薬は有機食品でデトックスできる?
農薬は有機食品でデトックスできる?

このグラフ、パッと見ると、
有機野菜食べると、
極悪非道のネオニコチノイド系農薬が
94%減る!と見えますね。

慣行食材だと5ppbだが、
有機食材を5日間食べると54%減、
1カ月食べると94%減の0.3ppbになるという
グラフです。

で、何を調べたのかというと排出された尿中の、
ネオニコチノイド系農薬の割合です。

食材そのものでの残留量や、
血中濃度とかではありません。
体の中に残っている量はわかりません。
 
慣行食材では
ネオニコ摂取量が多いから、排出量も多い。
有機食材だと
ネオニコ摂取量が少ないから排出量も少ない、と
信じたい気持ちわかるけど、
摂取量そのものや摂取量と排出量の割合が、
このグラフだけでは、わかりません。

 
ここで出てくるppbという単位は、
10億分の1で、
50m×20m×1mのプールのなかに、
5mlの牛乳や、猛毒があるとき5ppbといいます。
それが、0.3ppbになったからといって、
何も変わらんように、私は思いますが、
あなたはいかがでしょう?
 
毎日、このプールの水を全量飲む人なら
気になるかもしれませんけど・・・・
 
 
オカネでたとえると、こんな感じ。

10億円預けて利子が0.3円、2.5円、5円で、
行動が変わりますか?
100万円、1000万円程度では何も変わらんよ。
 
ネオニコチノイド系農薬も、
基準どおり使えば絶対安全と
いいたいわけではなく、
 
有機農業のすばらしさを
伝えるのにppbというモノサシを
出さないとわからんほどの
差しかないの?
 

この程度の差しかないのに、
値段の高い有機野菜、
収量不安定な有機農業、
どうなんだろ。

スリランカでは、いきなり無農薬、無肥料の有機農業を推進して、
コメや紅茶の収量・品質が下がって国内が大混乱となり、
大統領が国外逃亡したという。
 
それと、学校給食にしても
3食のうち1食だけ有機野菜、それも一部だけ、
残り2食と土日・夏休みや冬休みはフツーの野菜、
そのために、
千葉県いすみ市では500万円の予算を
投入したという。
 

それぞれの信仰に基づいて
行動するのは自由だけど、
この程度のデータやグラフで、
県知事や市長に、
給食には有機野菜をと言って
申し入れする行動って、
どうなんでしょう?

まとめ

有機農産物を給食に、なかなか情緒的にはいい活動だと思います。

だからこそ、的外れのデータや、
自分たちの仮説にあったデータだけの切り取り、
間違ったデータを元にする活動は、
いい加減にしてもらいたいものです。
農薬を疑うのであれば自分たちのオリジナルデータで
主張してもらいたいところです。

作物統計や、農薬出荷量統計、発達障害などの市町村別統計などを
調べれば何らかの傾向がつかめるかもしれません。

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