生き物写真館

長野県山ノ内町、志賀高原、栃木県小山市、海外などで 出会った生き物を中心とした写真館です。 野鳥、昆虫、花、などの写真を撮影情報とともにお伝えします。 撮影テクニックやカメラについても書いてます。

農業f よもやま話

ネオニコチノイド系農薬と発達障害について

2022/05/01

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●ネオニコチノイド系農薬と発達障害について、

あるfacebookグループで、二人の方がやりとりしてました。
以下に引用します。

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山ノ内町の田んぼ
山ノ内町の田んぼ

◆Mさん

農薬ネオニコチノイドを規制せず、使いたくる。
発達障害の子供が13年間で7000人が10倍の7万人。
すでに社会に結果が出ています。

https://motion-gallery.net/projects/parc2021

◇Sさん

2005年に施行された発達障害者支援法により診断基準が変わり広く認知度が高まったのと気軽に受診できるようになった影響が大きいです。
昔は「わんぱくな子」「落ち着きのない子」「話が不得手な子」が発達障害者という枠に組み込まれ、没個性社会になっていますね。
ネオニコチノイドも要因の一つとして仮定するならば、農業の盛んな地域では都市部より発達障害者の割合が高いのでしょうか?

◆Mさん

・法施行されたから増えたのであればグラフは垂直になります。
そうではなくリニアにグラフが上がっています。なので気軽に受診できるから増えたという感覚ではないのです。

・ 農業が盛んだから発達障害が多いというのは科学的では有りません。
例えば東京であれば川下の水を飲料水として飲んでいます。
川上で農薬を撒いたのが川に流れて人が飲む訳です。
ネオニコの野菜は全国で食べられています。
・ ネオニコの有害性はマウス実験でも実証されている内容です。

◆Mさん

気軽に受診できるから増えたという部分に関しては、心療内科という問題があると思っています。
精神科医でもなく内科医が症状だけで簡単に処方して、小さな子供に精神病薬を飲ませている点にあります。
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化学物質過敏症と最終的に診断された方に対しても精神剤を投与して問題を悪化させています。原因は室内の化学物質濃度にあるのに根本的な対処を精神剤を処方している点です。小さな子供に精神剤を与えて良い結果にならない。その前に指導すべきことがあったのではないか、そう思います。

心療内科による悪化は多く見ました。
精神剤を飲ませてリピート客を増やすと安定経営なので、やたらと心療内科が増え続けています。
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化学物質による影響は様々で,精神病と誤診されています。ネオニコという化学物質ひとつとっても、マウスが怯える行動を起こしています。
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水で規制管理しようとする化学物質(=農薬)の数では間に合っていないのが実情。毎年数千の新しい化学物質が作られ、そのまま放置です。規制がないに等しい放置国家の日本の問題です。
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室内の空気中にある化学物質は手に負えない数となっていますが、そのまま放置。水も同じです

◇Sさん

法施行を要因とした場合のグラフが垂直になり得る理由がよくわかりません。認知が広まるには時間がかかります。情報が必要です。その情報をどこから仕入れるか、インターネットです。2005年頃ブロードバンド式がダイヤルアップ式を上回り、それ以降データ流通量が右肩上がりで増えています。携帯電話、スマホの普及率は言わずもがなです。情報を仕入れる手段がないと認知度は高まりません。気軽に受診する前段階として、認知度が高まるには情報量が大きく左右します。
発達障害の要因の1つとしてネオニコチノイドがあるのは別に否定はしません。報道特集の木村黒田論文の有機リンについても同様です。

◆Mさん

法規制で認知度が高まったから発達障害が増えたという記事が最近出ていました。記事では学校の先生が発達障害の原因だと。
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そんなのはデタラメであって、学校が授業できない状況になっているんです。保育園では加配という保育補助員を付け、来年度予算でも少子化なのに学校の先生を増やす。
お子様がいらっしゃるなら、小学校へ参観日にでも行かれれば昔のような状況ではないと異変を感じられると思います。

発達障害の増加グラフ Mさん提供、出典不明
発達障害の増加グラフ Mさん提供、出典不明

ミツバチが減るのがネオニコではないと言われるのはフェーク情報です。
ご例示をされています記事でも『殺虫剤や農家の集約化によって起こっているのです。』と書いています。
我が国も国会議事録で脳神経系に影響があると議事が残っています。

https://www.shugiin.go.jp/…/html/shitsumon/a198021.htm

●ネオニコチノイド系農薬の出荷量

ネオニコチノイド系農薬の合計出荷量 山室真澄著より
ネオニコチノイド系農薬の合計出荷量 山室真澄著より

この表は、以下の著書からの引用です。

「魚はなぜ減った?見えない真犯人を追う」山室真澄著 つり人社

これによると、1993年の発売以来、
2007年まではネオニコチノイド系農薬の出荷量は 右肩上がりで 増えています。

が、上の発達障害のグラフは、2006年スタートで急激に増えています。
2007年以降の出荷量は横ばいなのに、発達障害は増え続けています。

これを見ると、さきのSさんの意見、
診断基準や法律が2005年から変わって増えた。

これが原因という説のほうが説得力があります。

Mさんの、言葉づかいを見てみると、根拠もなしに、

科学的では有りません 、フェーク、デタラメと言って、
相手の言葉を理解する気持ちがない、ようです。

「使いたくる」という言い方にも悪意を感じます。

山室真澄氏は、東京大学教授で、上のTBS報道特集にも出演して、
宍道湖のシジミやウナギの減少は、
ネオニコチノイド系農薬が原因らしいと推測しています。

素晴らしい研究成果ですが、同著のなかでは、
あちこちで言われる日本の単位面積あたりの農薬使用量が
中国についで2番目だから危険、
という拓殖大学竹下正哲氏のデタラメ本から
肯定的に引用している点が残念です。

●別のグラフでは

自閉症、広汎性発達障害の発症率と農薬使用量 「日本が売られる」堤 未果著 より
自閉症、広汎性発達障害の発症率と農薬使用量 「日本が売られる」堤 未果著 より

このグラフは、別の記事にも載せましたが、
以下の著書からの引用です。

「日本が売られる」堤未果著 幻冬舎新書

これも、上のグラフは、自閉症、広汎性発達障害の発症率ですが、
下のグラフは、ネオニコチノイド系農薬ではなく、
農薬全体の単位面積当たりの使用量です。

堤未果氏は、本書のなかで、なにも説明していません。

この同じグラフを使って、上にあるTBS報道特集の中で、
木村ー黒田博士がネオニコチノイド系農薬のせいで
自閉症、広汎性発達障害 が増えたと言ってますが、
まったく説明になっていません。

こうしてみると、
ネオニコチノイド系農薬は発達障害が増えた原因だという根拠は、
弱い、と私は見ます。
まったく白だという気もありません。

Sさんの、いうように、ネオニコチノイド系農薬をたくさん使う地域の
学校で顕著な傾向があれば、可能性はあります。
Mさんは、それを科学的でないと切り捨てますが、
使っている一番近いところで、調べるくらいは、
やってもいいと思います。

Mさんのような人こそが、予断と思い込みから誤った情報を
広げているようにみえてなりません。

●同じグラフですが・・・・

農薬使用量と病気の関係
農薬使用量と病気の関係

このグラフは、木村ー黒田博士の引用したグラフと同じです。

ただ、注目すべきは、右のグラフの下の注釈です。

黒田純子氏まとめ、と書いてあります。黒田純子氏は、
木村ー黒田博士と同一人物とみられます。

自分でまとめたグラフにしてはお粗末すぎませんか?

日本や韓国より、使用量の多い中国などの
発達障害のデータをなぜグラフにしないのでしょう?

なぜ、農薬全体の使用量なんでしょう?

ネオニコのせいにしたいのであれば、ネオニコの使用量なり出荷量なりの
データを示す必要があるでしょう。

これが博士の言い分です。

●さらに別のサイトでは

病気と農薬使用量の関係
病気と農薬使用量の関係

このグラフも、先のグラフと全く同じで、
農薬全体と病気との相関を示しつつ、

因果関係と断定して、さらにネオニコチノイド系農薬のせいだとして、
2重の間違いを広めています。

●農薬の用途別の生産金額

農薬の用途別生産金額推移
農薬の用途別生産金額推移

こちらのグラフは、農薬の用途別生産金額の推移です。

93年のネオニコチノイド系農薬発売以来、殺虫剤は減少傾向にあります。
小さい〇印のグラフ。

私の肌感覚として、よく効くネオニコチノイド系農薬が出てきて、
他の殺虫剤が要らなくなった、という感じです。

実際、私の担当していた宮崎県でも、製剤として2.4トンくらい今までの殺虫剤が売れなくなりました。

だから、ネオニコチノイド系農薬の出荷量は伸びたわけですが、
それは93年から2006年くらいまでで、その後は横ばいなのは、
すでに述べたとおりです。

●せめてネオニコチノイド系農薬農薬のグラフを使ってほしい

ネオニコチノイド系農薬の出荷量
ネオニコチノイド系農薬の出荷量

こちらは、山室真澄氏の本と同じデータを棒グラフにしたもの。

https://dot.asahi.com/wa/2019030500049.html?page=1

ネオニコチノイド系農薬種類別出荷量
ネオニコチノイド系農薬種類別出荷量

こちらは、ネオニコチノイド系農薬含む浸透性農薬の種類別の出荷量です。
ネオニコチノイド系農薬でないものも入ってますが、
せめて、こういうグラフをもとに考察を述べてほしいものです。

●有機農業のせい?

有機農業の面積推移
有機農業の面積推移

このグラフは、平成21年(2009年)から10年間で増えた有機農業の面積です。発達障害のグラフと相関関係があります。

有機農業の面積が増えたから、発達障害が増えたのか?

もちろん、私はそう思いませんが、そう主張することも可能です。

出典は以下です。

https://wedge.ismedia.jp/articles/-/22663

ほかにも、糖尿病患者数、自殺者数、シングルマザーの推移、新車登録台数、スマホ普及率、インターネット普及率など、ネット上には右肩上がりのグラフはいくらでも転がっています。

さあ、あなたも、自分の言いたいことを
これらグラフを使って発信してみましょう。

自分の責任で発信してみよう。
ヒトの発信をシェアするだけより、面白いですよ。

ぜんぶ、ネオニコチノイド系農薬のせいかもしれません。

ネオニコチノイド系農薬の使用をやめる「だけ」で、
これら問題がすべて解決するなら、それもいいでしょう。

米の収量が3割減になって、1993年の平成の米騒動が毎年起こったって、
いいじゃないですか?
りんごなんて、ひとつも食べなくたっていいでしょう。

と、まあ、少々筆がすべりましたが、
ちょっとだけ考えてみてくださいね。

●まとめ

・農薬全体の使用量と病気との関係は相関関係であり、因果関係とはいえない。

・農薬全体の使用量のグラフだけで、ネオニコチノイド系農薬の指標としては
いけない。

・ネオニコチノイド系農薬の出荷量増加と病気の増えた時期とがずれている。

・2005年に法律がかわり、診断基準が変わったから、
「増えたように見える」と考えたほうが素直です。

・ネオニコチノイド系農薬が白だという気はありませんが、
 以上のデータだけから、
 黒だ、と(黒田博士が)
 判断する根拠に乏しいと思います。

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