生き物写真館

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よもやま話

残留農薬基準値はだれがどうやって決めているのか? 農薬メーカー元社員が調べる

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ネット上には農薬の残留についていろいろ不安視する声が多い。

一方で、基準値以下だから安全という意見もある。

そこで、残留農薬の基準値はだれがどうやって決めているのか

調べてみた。

以下にまとめました。

◆決め方は、動物実験により段階的に濃度を変えたエサを与えて
無作用量を決め、
そこから100分の1を基準値とする。

◆決めているのは内閣府の食品安全委員会のメンバーである。

◆このメンバーが信用できるのか?

◆農薬会社陰謀論についての考察

◆まずは残留農薬基準値の決め方

カリグリーン
カリグリーン

ラットやマウスの動物実験して決めます。
 
農薬を混ぜたえさを食べさせて段階的に、影響のない濃度、量を決めていきます。

最大無作用量(無毒性量:NOAEL)が決まります。

その数字から、100倍安全な値を算出します。

動物実験と人間との差で10倍、子供と大人の差よる差で10倍です。

つまり、最大無作用量が1gとしたら、0.1と0.1とをかけて、

0.001gとなります。

そうして計算したのがADI(一日摂取許容量)です。

体重1キログラム一日あたり食べても問題ない量重さミリグラムmgで表します。

mg/kg/日と。

その値を今度は、

お米何グラム、りんご何グラム、野菜もだいこんやトマトなど細かく

毎日どれだけ食べるのか調べがついてますので、

食べ物ごとに割り振っていきます。

(農薬)/食べ物)のmg/kgで表します。

キログラムあたりのミリグラムなので、割合はppmです。

とはいえ、りんご1キロ毎日食べる人はいないでしょうし、

1個だと約300グラム、なので3分の1、毎日1個でです。

りんごはおよそ、秋から冬が旬ですから、残り半年はゼロ行進といっていいでしょう。

とまとやきゅうりも毎日毎日一定量食べるなんてこともないでしょう。

おコメは毎日食べる人多いかもしれませんが、都会の人は

パンやパスタですませて、おコメ食べない日が何日もつづく人もいるかもしれませんね。

だから基準値以下なら安全といわれます。

たとえ、基準値オーバーしても、「直ちに影響ない」と言われます。

農薬が残留していると思うとゾッとするかもしれませんが、

普通の食べ物のなかにも毒性あるものいっぱいあります。

コーヒーやお茶に入っているカフェインや、とうがらしのカプサイシン、

ビールに入っているアルコール、みそ汁の食塩などなど、です。

お酒飲んだ後に、とうがらしの入りラーメン食べたり、

そのあとお茶やコーヒー飲んだりしますよね。

これらも一時的に大量に摂取すると急性アルコール中毒になったり、

慢性的に休肝日も設けず毎日多めの量を摂ると慢性中毒になります。

塩分多めの食事する人は、控えましょう、1日8グラム以下をめどにしましょうと

いわれてますよね。

それと同じです。

だから、たまに基準値超えであっても何日もゼロの日があることのほうが多いので

「ただちに影響ない」わけです。

でも、実際保健所などで抜き打ちで野菜や果物の農薬残留検査をしていますが、

ほとんどの場合、基準値以下、または検出限界以下です。

たまーに、基準値超えあると生産地に連絡が行き、全量廃棄処分になったり、

その段階で未出荷の農作物は再度、農家ごとに検査したりして

「安全宣言」出されます。

発表時にはすでに食べてしまったという例もたくさんあるでしょうが、

上に書いたとおり、基準値の10倍とかいうレベルでは

「ただちに影響なし」とされます。

これが、群馬県の食品工場で故意に農薬を振りかけた事件がありましたが、

そのときは、1000ppmつまり、基準値の500倍から1000倍とかいうレベルだった。

このレベルの農薬入り食品食べるとすぐにセメダインの匂いがして食べれなかったとか

吐き出したという反応になるようです。

◆つぎにだれが基準値を決めているのか?

Zボルドー
Zボルドー

基準値の決め方は以上でわかりました。

でも、それを決めている人は誰なのか?

それは、内閣府の食品安全委員会のメンバーです。

食品安全委員会HP

7名いて、その下に専門委員が250名ほどいるそうです。

そして、私も驚いたことに、専門委員は公募もしているのです。

主婦など食品に関心のある方なら専門委員になることも可能です。

応募要領はこちらです。

https://www.fsc.go.jp/osirase/sonota/boshu_20190604.html

今年(令和元年、2019年)はすでに募集終了していますが、

必ずしも大学の先生とかばかりではなく、

一般の人でも委員になれる可能性があるのです。

だから、農薬会社の陰謀とか献金、わいろなどで、

基準値を決める人たちが買収されて行政がゆがめられているという、

陰謀論を唱える人たちもいますが、

この制度からみると、陰謀論の妥当性は低いと見えます。

◆陰謀論 農薬村? についての考察

マシン油乳剤トモノールS
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陰謀論とは、以下のようなものです。

農薬会社の偉い人をはじめとして、

許認可権限をもつ公務員(農水省、厚労省、環境省など)が

自分たちの利益(もうけや多額のわいろなど)だけを考えて、

危険な農薬を許認可している。

一般の国民の安全を無視している、というものです。

原発問題に関しても、原子力村の住人(役人、電力会社、学者)が

原発を推進することで

利益を得て、一般国民の利益・安全を無視しているといわれます。

一部の人は農薬村(役人、農薬会社、学者)ともいいます。

福島第一原発の事故後の対応などを見ていると

確かにいわゆる御用学者が政府の都合よいことばかりを

発言しているケースもありそうです。

そして、そのような人たちは決して原発に近いところにはおりません。

自分たちは安全な場所にいて発言する。

これに似た構図としては、次の例があります。

アメリカ大統領や議会がよその国への爆撃や戦争を始める例です。

爆撃や戦争開始を決める人たちは決して戦闘機には乗らないし、

戦場にも行きません。

日米同盟は血の同盟という安倍晋三首相も同じです。

自分たちは安全なところにいて、危険なことがらを決定する。

ところが農薬についてはそうはいきません。

かりに農薬村の住人が、自分たちの利益だけのために危険な農薬を

推進した場合、その農薬を散布した作物だけを避けて通ることが

むずかしいと私は思うのです。

農薬村の住人専用の広い農場でもあって、そこでは無農薬の作物が

安全に生産されている、とは考えにくいのです。

それとも、自分たちだけ安全な農産物を入手できるルートを

持っていると考えればこの説の信ぴょう性が高まるのでしょうか。

農薬村の住人も農薬の危険にさらされていると思えるのです。

つまり、許認可権限を持つ人たちもリスクがあるので、

真面目に安全性について考えていると思うのです。

現在の科学において完璧じゃないけど最先端の考えで臨んでいると

思えるのです。

もう一つは規模の問題です。

農薬の売り上げは農薬会社40社合わせても3000億円程度です。

原発一つ分程度です、農薬関連業界も原発に比べたら多くないでしょう。

自動車産業では、トヨタ1社で1兆円の利益(売り上げでない)です。

こんなちっぽけな業界のために、議員や役人が群がるのでしょうか。

自動車産業と農薬業界の比較

毎年、3000人以上の方が交通事故でなくなりますけど、

クルマ危険だからなくせ、メーカーが悪い、という声はあまり聞きません。

クルマのベネフィットはみんなわかっているので、

極論は出てきません。

農家人口は200万人程度で総人口の2%にも満たない数字です。

農薬のベネフィットがわかる人なんてほんの一握りでしょう。

だから簡単に無農薬がいいという話が出てきます。

農薬なしで農業やるのがいかに大変なのかは、

農家しかわかりませんから。

現実問題として、有機農業は全体の1%にも満たないといわれます。

農家だってバカじゃない。

農薬代や散布の手間なしで病害虫雑草のない高く売れる作物が

採れるならだれでも無農薬栽培します。

98%の人が農業の生産現場のこと知らないといっていいでしょう。

確かにこの2年ほどの安倍内閣の行状を見ていると

内閣も国土交通省も文科省も財務省も信じたくないという気持ちよくわかりますけど・・・・

というわけで食品安全委員会と専門委員がそこそこ真面目に決めている、

と私は思っていますよ。

基準値も決めている人も信用できん、というのであれば、

もう、あとは自分で農業やって無農薬の作物を

自分で作るしかないですね。

筆者プロフィール

昆虫少年から大学は農学部昆虫学研究室に入り、卒論はみかんのアブラムシ。
卒業後、農薬会社の研究所をスタートに31年以上勤務した。
農業試験場などをまわる技術普及や現地の畑での実験などを経験しながら営業で全国の半分近くの県をまわる。

関連資格は以下のとおり。

毒物劇物取扱者責任者、農業改良普及員、高校農業教員、農学士、食Pro2

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