「本当は危ない国産食品」奥野修司著 を読んで
奥野修司さんの文章は、ほかでも読んだことあるので、
だいたいわかるが、Amazonでおススメされたんで読んでみた。
農薬大量使用国? ニッポン
例によって、単位面積当たりの国別農薬使用量のグラフである。
2017年は、初めて見る。中国、韓国、日本は金銀銅でトップクラス!
アメリカはビリだ。
元のデータはFAOからで、
作ったグラフはOECD加盟国としているが、
加盟国でない中国は入れて、
加盟国なのにコスタリカ、イスラエル、コロンビアは、
グラフから外している。
私の把握している資料では以下の通りです。OECD加盟国と中国。
数字はグラフからの読み取りで概算。
2017年だけが、このグラフのとおりの
順位だとはとても思えない。
2010年 コスタリカ27、イスラエル19、コロンビア14、中国14、日本12、韓国12、アメリカ2.5
2016年 コスタリカ22、イスラエル15、コロンビア12、中国12、韓国12、日本11、アメリカ2.5
2019年 コスタリカ20、中国13、イスラエル12.5、韓国10、コロンビア9、日本8、アメリカ2.5
作物の構成比率により、使う農薬の種類が異なり、
量も異なる。それをただ重さで比べて何の意味があるのか?
何回も言うように、
単位面積当たりの農薬使用量(成分重さ)なので、
農薬の種類も関係なく、
重いほど、毒性が強いわけでも、
作物残留値が多いわけでもない。
ただの数字遊び。
中国、韓国、日本はいまや農薬大量使用国として定着している。
これでも「国産は安全」と言えるのだろうか?
と書いて、アメリカは最も安全といいたいのだろうか?
後半では、アメリカ産小麦からグリホサートが検出されて、
日本産から検出されないから、日本産のほうが安全に見えるが、
本の題名と違うことになってますよ。
これら著者が勝手に、中国、韓国、日本を金銀銅として
紹介しているだけで事実は異なり、定着させようとしているのは、
著者たちなのだ。
またまた、木村ー黒田博士のグラフです
韓国、日本は農薬使用量が多いため、自閉症が多いかのように示す。
中国、コスタリカ、イスラエル、コロンビアも比較しないと
何とも言えませんね。
それと、アメリカは農薬使用量が少ないのに自閉症が多いように
みえますが、なんのコメントもありません。
低体重新生児も農薬のせい?
69ページのグラフ表9では、低体重新生児の割合が日本は世界一で
農薬のせいであるかのようです。
でも、日本と並んで農薬使用量が多い韓国は下から6番目です。
ギリシャは農薬使用量が少ないヨーロッパ諸国のひとつですが、
低体重新生児の割合が日本についで世界2番目です。
農薬使用量が少ないアメリカだって上位にきています。
日本国内でも、都道府県別に低体重新生児の割合が出ていますが、
農薬出荷量とはぜんぜん関係なさそうです。
表10のグラフでは、
日本に限らず低体重新生児の割合が右肩上がりですが、
農薬の出荷量は下がっておりまして、関係づけるにはちょっと無理があります。
ほかにも、以下の記述があり、農薬のことまったくわかってないようです。
48ページ
まともな農家なら、収穫前日まで殺虫剤を撒くなんて恐ろしくてできない。
きゅうりやトマトの農薬は「収穫前日」という使用基準があるものが
たくさんあります。
というのは、きゅうりやトマトでは収穫3日前とか、7日前では、
農薬散布後、3日、7日収穫できないとなると
でかくなりすぎるので「収穫前日」でないと、
使いにくい農薬となってしまい、
メーカーから見れば売れない農薬です。
こういう実態をまったく知らない人の発言です。
きゅうりやトマトでは残留値が多くなる場合は、
他の作物で小さくなるように調整します。
48ページ
残留基準値を二倍にゆるめれば、使われる農薬の量も倍になる。
なるわけない。
農家は農薬代が2倍になりますから、
そんな不経済なことはしません。
仮にアメリカの圧力か、何かしらんが、
基準値が2倍になったところで、
2000倍の農薬を、1000倍にしたり、
10アール3キロの農薬を6キロにすれば、
農薬代も(労力も)倍になります。
ほかには、ネオニコ系農薬やグリホサートの動物実験結果などが、
わんさかでてきて、悪影響を訴えているが、
上記のような記述から、
これら実験そのものが、信じるに足るものか、
よく検証が必要なものと判断します。
簡単に言うと、
新人歓迎コンパで、
ビール一気飲みした学生が急性アルコール中毒で
死亡したから、
ビールは一切売らないほうがいい、
という暴論にみえるからです。
2019年、2016年、2010年の耕地面積当たりの農薬使用量比較
ここからは、この本とは別の資料から入手したデータのお話です。
2019年 日本は26位
2016年 日本は16位
2010年 日本は11位 であり、銅メダルにも届いていない。
OECD加盟国だけに限っても、同じ傾向です。
中国よりも多い国がいくつもある。