【 農薬の毒性別割合 】毒物は1%もない
2022/04/03
●日本全体では
「農薬概説」2021によると
2019年の毒性別生産金額は、以下のようになっており、
88.2%が毒物にも劇物にも該当しない(普通物)農薬です。
普通物 88.2%
劇物 11.2%
毒物 0.6%
生産量でなく、生産金額という奇妙なデータですが、
これだけ差があれば、
同じ物量でも普通物のほうが値段が高いだけだろう、
という見方も通用はしないでしょう。
こちらのグラフは、1年古いので、細かい数字は違いますが、
グラフの傾向だけ見てください。↓↓↓
●長野県病害虫雑草防除基準では
長野県として、おススメの農薬が載っている本が
あります。令和4年版671ページ。
物量はわかりませんが、
掲載農薬の種類数は769種類のうち、
普通物が698種の90.8%です。
劇物は70種の9.1%
毒物はひとつだけです。
劇物70種のなかでも、殺虫剤が51種73%を
占めるので、
除草剤、ラウンドアップなどを
猛毒とか表現するのも誤りです。
除草剤は237種のうち、劇物は1種、毒物は1種です。
平成30年版においても、同様の傾向です。
こうしたデータを無視して、
農薬は虫が死ぬから(すべて)毒物だ、
とか、
猛毒の農薬をかけている、
などという
言説をバラまくのは害悪です。
ウソ、デマの拡散です。
自分たちの有機野菜「だけ」が
安全安心とか、
何か理由があっての情報発信です。
ラウンドアップは、誰でもハンコなしに買える普通物です。↓↓↓
●毒物、劇物の基準は?
毒物劇物取締法により、下記のように決められています。
LD50値として。
LD50とは、その量を一度に食べると半分のヒトが死ぬ値です。
体重1㎏あたりなので、50㎏の人は50倍します。
数値が小さいほど、毒性が強い。より少量で死ねます。
・毒物: 経口 ;50mg/kg以下、経皮;200mg/kg以下
フグ毒:0.0085、ニコチン24、青酸カリ5
・劇物:経口;50mgを超え300mg/kg 以下
経皮; 200mg/kgを超え1,000mg/kg以下
カプサイシン(トウガラシの辛み成分)60、カフェイン174
普通物:上記の劇物よりも毒性が低いもの。農薬の9割がこれ。
グリホサート:5000、アセフェート:480、フェニトロチオン:1030
カプサイシンやカフェインは劇物相当ですが、それだけを
取り出して食べたり、販売することもないので、
劇物指定はされていません。
カプサイシンは、鷹の爪1gに1mg含まれます。
体重50キロの人が60本×50=300本
300本食べたらヤバイ、ということです。
激辛注意!!です。
催涙スプレー、ネズミ除け、薬用クリーム、入浴剤などに使われる。
天然物だから、いくら食べても大丈夫、ではありません。
眼や粘膜にも刺激あります。
●データの信頼性
こうしたデータは、農薬工業会とか、
日本政府(農水省)から出るので、
メーカーの集団や役人は信用できん、
というのも自由ですが、
私が30年以上農薬会社で働いてきた
肌感覚としも、
合ってます。
農家に一人一人聞いても、
合ってるでしょう。
中には、事故で、
けがや病気になる例もありますが、
年間数件、
まさに数えるほどです。
農薬は、
平均年齢65歳という農家が
誰も免許が必要ない状態において使われています。
一方で、免許持ちの運転が基本なのに、
交通事故では、
年間3000人亡くなります。
どちらが、危険というわけでもありませんが、
情報の質・量とも不均衡なのは
間違いありません。
買うときにハンコのいる毒物・劇物農薬はほんの一部です。
鍵のかかった棚に保管される。↓↓↓
●まとめ
・国内約4000種ある商品名の農薬のうち、
買うときにハンコのいる劇物、毒物の農薬は10%程度である。
・毒物は1%にも満たない。
・全国の毒性別生産金額や長野県防除基準掲載の種類数での
カウントでも大きな傾向は変わらない。
・長野県防除基準には、
北海道のテンサイ、静岡特産の茶・みかん、沖縄のサトウキビ・パイナップル などの作物が載ってないが、
これら作物で特別毒性の強い農薬を多量に使っているという話も、
聞かないので、データの意味はあると思う。
・全国のデータも生産金額という数字であるが、
普通物だけが特別値段が高いというわけでもないし、
金額の差がこれだけ大きいのは、物量も比例している
と考えるのが妥当です。