「まみれ」の研究 パンから農薬?
2022/04/04
目次
●日本のパンも農薬「まみれ」?
あるfacebookグループで、こんな記事をシェアして
怖がっている人たちがいます。
日刊ゲンダイ
「健康志向には衝撃 「全粒粉」入り食パンは残留農薬まみれ 2019年8月10日」
こういう新聞記事を切り抜いて、
100件以上のシェアして、
こわいこわい、
いろんな人がいろんなコメントしてる
グループがあります。
小麦製品からグリホサートが高頻度で検出される理由は、
日本が小麦を輸入する外国において、
収穫直前に除草剤を散布する
「プレハーベスト処理」が行われているからだ。
記事をよくよむと
15検体中10検体から検出、
なんと67%の検出率
ともいえるが、
食パン1枚からどのくらいの農薬が検出されたのか、
記事からはぜんぜんわからん。
それで、調べたら以下の通りです。
検出された10検体のうちから検出された
量は
0.05~0.23ppm程度です。
量と言っても、ppmは割合、
率の単位なのでパーセントみたいなんもんです。
正確にはパーセントの1万分の1です。
パーセントは100分の1ですが、
ppmは百万分の1です。
手っ取り早く、
お金でたとえると以下の通りです。
100万円に1円で 1ppm
0.1ppmは、1000万円に1円の割合、
0.01ppmは、1億円に1円の割合、
0.05ppm ということは、
1億円預けて、5円の利息つく割合です。
こういうとき、俺の貯金、利息まみれ、ていうの?
こんな少しでも、
確かに農薬入りのパンは気持ち悪いけど、
くだものや野菜では、フツーのことです。
0.05gで猛毒だとしても、
それは1億グラム=100トン食べた時です。
食パン何枚分じゃ~~?
自分の手、ばい菌まみれ、
包丁もまな板も、まみれだよ。
パンツの中、XXXまみれ、
政治家は裏金まみれ、
みんな、〇〇まみれだよね。
もうちょっとまともに
農薬のこと勉強しませんか?
●パン何枚分か計算してみた
食パン1斤=350gとして、
100トンだと、なんぼになるんかな?
100トン=100,000キログラム=100,000,000グラム
100,000,000グラム÷350グラム=285,714斤
1斤6枚切りで、1回の食事で2枚食べるとすると、
2枚で120gとして、計算すすめます。
100,000,000g÷120g=833,333回 の食事になります。
833,333÷3÷365=761年分
仮にグリホサートが猛毒として5グラム食べるには
761年間、3食毎日2枚の食パンを食べる必要があります。
ましてや、グリホサートは誰でもハンコなしで買える
普通物なので、5g食べても死ねません。
今回、一番濃い濃度が0.23ppmなので、5倍としても、
761年÷5=152年なので、
事実上、なにも変わらない結果となります。
●ヒコーキ事故で死ぬ確率 9ppm
アメリカの国家運輸安全委員会の調べでは、
ヒコーキ事故で死ぬ確率は0.0009%という。
これは、9ppmです。
一番濃い0.23ppmよりも39倍危険です。
それでも、人々は、自分の乗るヒコーキだけは、
落ちないと信じてヒコーキに乗ります。
あんなデカい鉄の塊が空飛ぶの気持ち悪いという感覚もわかりますんで、
絶対飛行機乗らない生活態度も否定はしません。
こうした数字を把握して、
だから絶対大丈夫と、いいたいわけではありません。
現に、数日前に、中国でヒコーキ落ちて
100人以上亡くなりました。
恐れる、パン食べない、国産小麦のパン食べる、
米を食べる、ヒコーキ乗らない、
それぞれ選ぶのはあなたが決めることです。
パンの写真ないんで、
おにぎりで勘弁してね。
by長野県農薬管理指導士
●無料の農薬勉強会やってます
こちらの公式ラインからご連絡ください。
●まみれの元記事はこちら
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/260101
冷静な分析記事はこちら↓↓↓
https://earlybirds.ddo.jp/bunseki/report/agr/glyphosate/wheat_bread_1st/index.html
●小麦粉(国内製造)について
今回買ったパンの表示を見ると、
二つとも小麦粉(国内製造)と書いてあります。
第一屋製パンや敷島製パンを批判する気はありません。
たまたま、です。
普段から、メーカーを見て選ぶわけでもありません。
この小麦粉(国内製造)という表記、ちょっと紛らわしいけど、
以下のことのようです。
外国産の小麦を使って、小麦粉に製粉したのが国内という意味で、
小麦そのものが国産ではない、ということです。
国産小麦のシェアは13%で、残り87%が外国産。
内訳はアメリカ49%、カナダ34%、オーストラリア17%ということです。
国産小麦の多くはうどん用で、
パン用小麦の品種開発が
長いことされてこなかった歴史もあります。
では、アメリカの小麦の種を買ってきて、
日本で育てたらよさそうですが、
湿潤な日本での栽培は難しい可能性が高い。
病気にやられるとか。
いわば、買ったほうが安い、という状態なのでしょう。
ただ、ここへきて、ウクライナで戦争が起きたりして、
小麦そのものの生産量や物流が不安定になると、
やはり国産、自給率をあげよう、
となりますが、農産物は、工業製品と違って、
工場だけ24時間動かせば、できる、
というものではありません。
普段からの準備が必要なんです。
ウクライナの小麦は日本には来てないようですが、
世界8位の生産量で、輸出量は5位なので、
世界中の小麦供給量に影響が出るでしょう。
そして、以下のリンクを詳しく読むと、
今回グリホサートが検出されたのは、
産地記載のないもの=外国産小麦で、
国産小麦のパンからは検出されていないのです。
外国産特にアメリカでは、小麦の収穫前にラウンドアップを散布して、
小麦を枯れた状態にして、収穫作業を楽にしているという実態があります。
日本では、まだ、この使い方は許可になっていませんので、
今回、国産小麦のパンからは検出されなかった、ようです。
●雪白舞について
雪白舞についての
詳しい説明はこちらをどうぞ。